不利益処分の前にされる聴聞手続については、明らかに不公正としか見られないような規定もありますが、いちおう、国民側の権利ですので、見ていきましょう。できるだけ速やかな法改正が望まれます。

トップページへ
メルマガのお知らせ
連絡先
市民の味方! 行政法

●聴聞

聴聞の通知
行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を、書面により通知しなければなりません。
・予定される不利益処分の内容および根拠となる法令の条項
・不利益処分の原因となる事実。以上2つを処分理由案といいます。
・聴聞の期日および場所
・聴聞に関する事務を所掌する組織の名称および所在地
処分理由案は、処分理由を開示することによって、どういう理由で不利益処分を受けようとしているのか明確に認識させ、聴聞の際に弁解・防御できるように準備の機会を与えるためにありますので、具体的に書かれている必要があります。

教示:行政庁は、聴聞の通知の際の書面で、以下の事項を教示しなければなりません。
・聴聞の期日に出頭して意見を述べることができる旨
・聴聞の期日の出頭に代えて陳述書を提出できること
・上記いずれの場合にも、証拠書類または証拠物を提出できること
・聴聞が終結する時までの間、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができること。

不利益処分を受ける者が所在不明の場合:行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって通知することができます(公示送達)。掲示を始めた日から2週間を経過したときに、当該通知がその者に到達したものとみなされます。

聴聞手続の登場人物
基本的には、当事者と行政庁職員、そして主宰者の3者によって行われます。
・当事者:聴聞の通知を受けた者。不利益処分を受けるかもしれない人。
・行政庁職員:行政庁職員とは、不利益処分をしようとする行政庁の補助職員で、聴聞に参加しない行政庁の代弁者として聴聞に参加します。
・主宰者:聴聞の審理を主宰する者で、行政庁が指名する職員その他政令で定める者がなります。行政手続法中で最悪なのは、主宰者になれない人を定めた規定です。そこには当事者・参加人やこれらの関係者などが、主宰者になれない人として並んでいます。国民側が主宰者を選べるのなら、このような規定でいいでしょうが、主宰者を選ぶのは行政庁です。それなのに行政側で主宰者になれない人は定められていません。ですから国民側にとって最悪のケースでは、不利益処分をしようとしている課の課長が行政庁職員として聴聞に参加して当事者と向き合い、その部下の課長補佐が主宰者に就くということもあるようです。
中立的な立場の者が主宰者になるような法改正がなければ、聴聞の不公正さはぬぐえないでしょう。
・関係人:当事者以外の者で、不利益処分の根拠となる法令に照らして、その不利益処分について利害関係を有すると認められる者。
・参加人:聴聞手続に参加することになった関係人。参加人は関係人の一部です。
関係人が参加人となるには、関係人の求めに基づく場合(主宰者の許可が必要)と、主宰者の職権に基づく場合の2通りがあります。
・代理人:当事者・参加人は、代理人を選任することができます。このとき主宰者の許可は不要です。代理人は聴聞に関する一切の行為をすることができます。代理人の資格は、書面で証明しなければなりません。代理人がその資格を失ったときは、当事者・参加人は、書面でその旨を行政庁に届けなければなりません。
・補佐人:当事者が外国人の場合の通訳など、専門的知識をもって当事者・参加人を援助する第三者。
当事者または参加人は、主宰者の許可を得て、補佐人とともに出頭することができます。したがって、補佐人は、当事者・参加人に代わって単独で、当該期日に出頭したりできない等の点で、代理人と異なる。

審理の方式
まず、最初の聴聞の期日の冒頭において、行政庁の職員が、予定している不利益処分の内容と根拠となる法令の条項ならびにその原因となる事実を、聴聞の期日に出頭した者に説明します。
当事者または参加人は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、証拠書類等を提出し、主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができます。
主宰者は、聴聞の期日において必要があると認めるときは、当事者もしくは参加人に対し質問を発し、意見の陳述もしくは証拠書類の提出を促し、行政庁の職員に対し説明を求めることができます。
当事者または参加人の一部が出頭しないときであっても、主宰者は、審理を行うことができます。
審理は、行政庁が公開することを相当と認めるときを除き、非公開です。

文書等の閲覧請求権
当事者および参加人のうち不利益処分により自己の利益を害されることとなる参加人は、聴聞の通知があった時から聴聞が終了するまでの間、行政庁に対し、当該事案についての調査の結果に関する調書などの当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができます。この場合、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができません。
当事者が聴聞の期日における審理の進行に応じて必要となった資料の閲覧をさらに求めることを妨げない。
行政庁は、閲覧について日時および場所を指定することができます。

陳述書等の提出
当事者または参加人は、聴聞の期日への出頭に代えて、主宰者に対し、聴聞の期日までに陳述書および証拠書類等を提出することができます。
主宰者は、聴聞の期日に出頭した者に対し、その求めに応じて、上記の陳述書等を示すことができます。

期日続行の指定
主宰者は、聴聞の期日における審理の結果、なお聴聞を続行する必要があると認めるときは、さらに新たな期日を定めることができます。その場合、当事者および参加人に対し、あらかじめ、次回の聴聞の期日・場所を書面により通知しなければなりません。ただし、聴聞の期日に出頭した当事者および参加人に対しては、その聴聞の際に告げるだけでかまいません。

当事者の不出頭等の場合における聴聞の終結
主宰者は、当事者の全部もしくは一部が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、陳述書等も提出しない場合には、これらのものに対し改めて意見を述べたり、証拠書類等を提出したりする機会を与えることなく、聴聞を終結することができます。
主宰者は、当事者の全部または一部が、正当な理由により聴聞の期日に出頭せず、陳述書等も提出しない場合であっても、これらの者の聴聞の期日への出頭が相当期間引き続き見込めないときは、これらの者に対し、期限を定めて陳述書等の提出を求め、期限が到来したときに聴聞を終結することができます。
一方的に聴聞を打ち切られたくなければ、陳述書だけでも提出しましょう。

聴聞調書・報告書
主宰者は、聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し、不利益処分の原因となる事実に対する当事者および参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければなりません。
主宰者は、聴聞の終結後すみやかに、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し、調書とともに行政庁に提出しなければなりません。
当事者または参加人は、調書および報告書の閲覧を求めることができます。

不利益処分の決定
行政庁は、不利益処分の決定をするときは、調書の内容および報告書に記載された主催者の意見を十分に参酌してこれをしなければなりません。

聴聞の再開
行政庁は、聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、主宰者に対し、提出された報告書を返戻して聴聞の再開を命ずることができます。

不服申立ての制限
行政庁または主宰者が聴聞の規定に基づいてした処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができません。
聴聞を経てされた不利益処分については、当事者および参加人は、原則として、行政不服審査法による異議申立てをすることができません。なぜなら行政庁(処分庁)とは、いっしょに聴聞をやっていたからです。ですからその行政庁(処分庁)に異議申し立てしても意味がありません。しかし審査請求は可能です。

●行政手続法
行政手続法とは
届出と申請
不利益処分
聴聞
弁明の機会の付与
行政指導

行政不服審査法
不服申立てできること
不服申立ての種類
不服申立ての手続き
不服申立人
審理の方法
執行停止
裁決および決定
裁決・決定の種類
教示

●国家補償法
国家賠償法と損失補償
公務員の不法行為
公の営造物の瑕疵
損失補償

行政事件訴訟法
行政事件訴訟法と行政不服審査法
行政事件訴訟の類型

不服申立と取消訴訟の関

取消訴訟について
訴訟要件
訴えの変更と職権証拠調べ
仮の権利保護:執行停止
判決の種類と効力

取消訴訟以外の行政訴訟

改正行政事件訴訟法
平成16年6月9日公布
1年以内に施行

●行政機関情報公開法
情報公開の対象
情報の開示義務
開示請求の流れ
救済制度
情報公開審査会

●地方自治法
直接請求の種類と特徴
直接請求の共通事項
住民監査請求と住民訴訟